英語学習に重要な『CLIL(クリル)』とは?子どもも大人も伸びる、欧州で注目の勉強法

新しい英語学習法『CLIL(クリル)』とは? 英語学習

CLIL(クリル)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

CLILはヨーロッパで特に注目されている英語学習法で、現在では徐々に日本でも英語教育に取り入れられています。

今回は、このCLIL(クリル)の特徴や今日からできるCLILを意識した英語学習について書きたいと思います。

スポンサーリンク

CLIL(クリル)の意味は?英語習得に期待できる効果とは

ペンとメモ

CLILの定義と背景

CLILとは、”Content and Language Integrated Learning”の略で、「内容言語統合型学習」と呼ばれる学習法です。

具体的には、

理科や社会などの様々な分野を母国語とは別の言語で学ぶこと

を指します。

要は、文法や単語の学習などの英語を学ぶためだけの勉強ではなく、英語「で」何かを学ぶということですね。

CLILは1990年代半ばにヨーロッパで提唱された言語学習法で、従来の学習法とは異なり、内容と言語の両方を学ぶことに焦点が当てられています。

外国語を使って新たな知識を吸収することで、4技能(聞く・話す・読む・書く)を効率的に強化することを目指す、今注目されている言語学習法です。

日本でも、ECCなどの語学学校で取り入れられ、徐々に広がりを見せ始めています。

日本人に効果的?CLIL(クリル)の目的とは

外国語「で」学ぶCLILの目的について、専門家であるDavid Marsh氏はこのように述べています。

The aims depend on the model used. These may be subtle, as in helping youngsters understand the point of learning a language and developing in the youngsters a positive ‘can do’ attitude towards themselves as language learners. This is crucial in places like Spain and Japan where English is often remote from the real lives of young people.

(CLILの目的は学習モデルによります。捉えにくいかもしれませんが、言語を学ぶ際に大切なことを若い人たちが理解するのを助けたり、彼らに言語を学ぶ者として、 自分自身に対して「できる」というポジティブな姿勢を身につけさせることなどです。このことは、若者の実生活と英語との間に距離がある、スペインや日本のような国では非常に重要です。 (筆者訳) )

http://ihjournal.com/content-and-language-integrated-learning

Marsh氏によると、日本人のように英語が身近な存在ではない国の学習者ほど、CLILを通じて外国語の習得に自信を持つことが重要だというわけですね。

確かに、英語学習に興味のある日本人は多いものの、日本は普段英語を理解していなくても全く困ることのない生活ができる国。

そのため、日本で英語学習のモチベーションを保つことは簡単ではありません。

ややもすれば、

英語なんて普段使わないのに勉強して何になるの?

など、人の意欲を削ぐようなことを平気で言う人もいる上に、

英語ができないのは恥ずかしい…
下手な英語を話すのは恥ずかしい…

という謎のプレッシャーのようなものが確実に存在する国でもあります。

そのため、外国人が多く、片言でも英語で話すという状況が日常にある国と比べれば、日本人が英語を習得するハードルは高いのかもしれません。

しかし、そんなときに大事なのが「どのような姿勢で学習に臨むか」ですよね。

Marsh氏が指摘しているように、日本でもCLILが一般的になり、「自分にも英語ができる」というポジティブな姿勢を持つ日本人が増えたら素敵だなと思います。

スポンサーリンク

CLIL(クリル)の特徴:CBIとの違いや4つの「C」について

CLIL(クリル)の特徴

CLILとCBI(コンテンツに基づく指導法)の違い

CLILと似たような考え方に、CBI(Content Based Instruction : コンテンツに基づく指導法)というものがあります。

これは生徒が興味を持つ分野を外国語で学ばせる指導法で、CLILよりも以前から提唱されている考え方です。

では、CLILとCBIはどのように異なるのでしょうか?

日本大学准教授の大森氏の論文では、CBIとCLILでは共通する点が多いことに触れた上で、両者の違いについてこのように書かれています。

CBI focuses more on language education. …(中略)… a unique feature of CLIL is that it is content-driven, but considers language learning equally important, thus integrates both into lessons.

(CBIがより重きを置いているのは、言語の教育です。 …(中略)… CLILでは、学ぶ内容が主であることがその特徴である一方で、言語学習も同様に重要だと考えられているため、授業では両方を合わせて指導します。)

https://rikkyo.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=10584&item_no=1&page_id=13&block_id=49

たとえば、学ぶ対象が英語であればCBIは英語を学ぶことがメインであるのに対し、CLILは英語と学ぶ内容の両方を同じぐらい重要視しているということですね。

このことは、CLILの10大原理の1つに「内容学習と語学学習の比重は1:1」とあることからも明らかです。

CLILの4つのC

また、CLILの授業を支える「4つのC」と呼ばれる次のような構成要素があります。

  1. Content(内容)
  2. Communication(言語スキル)
  3. Cognition(思考)
  4. Community / Culture(共同学習、異文化理解)
CLIL(クリル)の4つのC

CLILの授業では、生徒たちは学習対象である内容を理解するため、外国語を実際に使って考え、他の生徒とコミュニケーションを取り、異文化に対する理解を深めていくことになります。

大森氏の論文では、CLILを採用している日本の大学の例として、埼玉医科大学と上智大学が挙げられています。

上智大学の藤田保教授は、CLILのような授業が主流になってきた理由についてインタビューでこのように述べています。

今の子どもたちが社会人になる20年後、30年後はどういう世の中になっているかを考えた時、これまでの教育では不十分であり、今まで以上に自分の頭で考える力が重要であるとはっきりしてきたのだと思います。…(中略)…
日本だけでなく世界的な傾向として子どもの主体性を伸ばすことが求められています。そしてその方法の1つとして、CLILのような教授方法が注目を集めているのです。

https://plus.alc.co.jp/2018/03/clil/

2020年度から小学校の新しい学習指導要領がスタートし、英語に関しては、3、4年生が活動、5、6年生は教科になります。

そうした流れの中で日本でもようやく、従来型の受け身の英語学習ではなく、自分の頭で考える英語学習へと指導方法が変わってきているというわけですね。

スポンサーリンク

今日から始められる!CLILの考えを取り入れた英語学習

スケジュールとメモ

4技能を鍛えるために効果的だとされるCLILですが、日々の英語学習にもCLILの考え方を取り入れることは可能です。

単語帳や文法書を開いて問題を解くという従来の学習法は少し置いておいて、まずは自分の好きなことを英語「で」学ぶことを始めてみてください。

実際にはCLILは英語以外の教科や専門性のある内容を学ぶことに対して語られることが多いようですが、「英語の学習」から「英語で学習」に切り替えるだけで学習効果に大きな変化と刺激が生まれます。

スポーツ、料理、投資、子育て…当たり前ですが、英語で発信されている情報は日本語とは比べ物にならないほど大量にあります。

そこから自分の好きな分野を選んで、英語「で」学んでみましょう。

そして、学んだ内容を少しでも自分の言葉で説明できるよう目指すと、CLILの考え方を活かして言語スキルや思考力を鍛えることができます。

もう少し専門的な分野を学びたければ、Cousera(コーセラ)という、世界中の大学のいくつかのコースをオンライン上で 無償で提供しているサービスがあります。

スマホのアプリからでもアクセスできるので、CLILを意識した学習にはもってこいですね。

Coursera: Learn new skills
Coursera: Learn new skills
開発元:Coursera
無料
posted withアプリーチ

また、より実践的なことを学びたい方には、写真やプログラミング等様々な分野をオンラインで学ぶことができる『Udemy(ユーデミー)』がおすすめです。

英語で説明されている講座を受講して、気になる分野を学んでみてください。

スポンサーリンク

ヨーロッパで注目される英語学習法CLIL(クリル)まとめ

CLIL(クリル)・・・ 内容言語統合型学習:様々な分野を母国語とは別の言語で学ぶこと

CLIL式の指導方法を採用することで日本の英語学習が変われば、「日本人は英語が苦手」というステレオタイプはなくなるかもしれませんね。

そして、生涯学習という言葉が一般的になった今、大人の私たちも子どもたちに負けてはいられません。

大人でもまだまだ英語力アップできるはず!

ちなみに、CLIL(クリル)については、子どもの英語教育のポイントにが分かりやすく詳細に書かれた本、『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語――わが子の語学力のために親ができること全て!』でも紹介されています。

子どもに英語を話せるようになってほしいママ・パパだけでなく、英語を勉強しているのになかなか成果がでないと悩んでいる人なら誰でも知っておくべき内容が盛りだくさんですよ。

英語学習コラム
スポンサーリンク
この記事を書いた人
とり子

英語講師・翻訳者。
4か月女児のママ。

\忙しいママにも英語を学ぶ楽しみを!/
●読んだその日から実践できる英語勉強法を多数紹介
●TOEIC980・英検1級保有者の学習ノウハウを公開
●ときどき日々の暮らしに関すること

とり子をフォローする
スポンサーリンク
ママエイゴ

コメント