もう全文チェックした?話題のグレタ・トゥンベリさん国連スピーチの英文を解説

グレタさん国連スピーチから英語表現を学ぶ 英語学習

2019年9月23日、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが国連の気候行動サミットで行ったスピーチが話題になりましたね。

なんとまだ16歳の彼女、怒りに満ちた真剣な表情で大人たちに訴える彼女のスピーチは非常に印象的でした。

本記事では、グレタさんのスピーチを使って、気になる英語表現や使えそうな言い回しを解説していきます。

グレタさんのスピーチの動画や原稿全文はこちらから見ることができます。

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“How dare you?”だけじゃない!グレタさんの演説から気になる英文をピックアップ

地球と青空

グレタさんのスピーチで使われている言葉は全体を通して分かりやすく、英会話に参考にできるものが多いです。

また、はっきりとした話し方でスピードもゆっくりめなので、英語学習の教材にぴったりですね。

早速冒頭からチェックしていきましょう。

How dare you! よくもまあ~できるものだ

My message is that we’ll be watching you.

This is all wrong. I shouldn’t be up here. I should be back in school on the other side of the ocean. Yet you all come to us young people for hope.

How dare you!

(私が伝えたいことは、私たちはあなた方を見ているということです。

そもそも、すべてが間違っているのです。私はここにいるべきではありません。私は海の反対側で、学校に通っているべきなのです。あなた方は、私たち若者に希望を見いだそうと集まっています。

よく、そんなことが言えますね。)

ここでは最後に”How dare you!”という、このスピーチの代名詞とも言える表現が使われています。

“dare”は「大胆にも~する、平気で~する」で、”How dare you~![?]”と言うと、「よくもまあ~できるものだ」という意味になります。

このスピーチでは何度か繰り返し使われている表現で、適切な行動を取らない大人たちを非難する言葉として非常に効果的に使われていますね。

extinction 絶滅 / all you can talk about is… ~しか話せない

You have stolen my dreams and my childhood with your empty words.

And yet I’m one of the lucky ones. People are suffering. People are dying. Entire ecosystems are collapsing. We are in the beginning of a mass extinction,

and all you can talk about is money and fairy tales of eternal economic growth. How dare you!

(あなた方は、その空虚なことばで私の子ども時代の夢を奪いました。

それでも、私は、とても幸運な1人です。人々は苦しんでいます。人々は死んでいます。生態系は崩壊しつつあります。私たちは、大量絶滅の始まりにいるのです。

なのに、あなた方が話すことは、お金のことや、永遠に続く経済成長というおとぎ話ばかり。よく、そんなことが言えますね。)

”We are in the beginning of a mass extinction.”の文にある”extinction”は「絶滅」。

受験勉強でこの単語を覚えた方も多いと思いますが、環境問題を論じる上では避けては通れない言葉ですね。

また、”mass extinction”で「大量絶滅」「集団絶滅」という意味になります。

次の文の”all you can talk about is…“というのは、直訳すれば「あなたが話すことができる全てのことは…だ」で、「あなたが話せるのは~だけ(~しかない)」というニュアンスになります。

例えば、”All you can do is practice.”と言えば、「あなたは練習することしかできない」、つまり「練習あるのみ」といった意味になります。

crystal clear 非常に明白な / nowhere in sight 見通しが立たない

“For more than 30 years, the science has been crystal clear. How dare you continue to look away and come here saying that you’re doing enough, when the politics and solutions needed are still nowhere in sight.

(30年以上にわたり、科学が示す事実は極めて明確でした。なのに、あなた方は、事実から目を背け続け、必要な政策や解決策が見えてすらいないのに、この場所に来て「十分にやってきた」と言えるのでしょうか。)

crystal clear“は文字通り「水晶のように澄み切った」という意味から、「非常に明白な」という意味で使われています。

単に”clear”と言うよりも、ここでは科学が既に示してきたという明らかさが強調され、糾弾するようなニュアンスを出していますね。

ちなみに、”The sky is crystal clear.”というように、空や海が澄んでいる様子を表現する際にも使われる言い回しです。

(be) nowhere in sight”の “sight”には「視界、視野」という意味があります。

そのため、「見える範囲のどこにもない」、つまり「先が見えない」「見通しが立たない」といった意味になります。

no matter how~ どんなに~であろうとも

地球温暖化

You say you hear us and that you understand the urgency. But no matter how sad and angry I am, I do not want to believe that.

Because if you really understood the situation and still kept on failing to act, then you would be evil. And that I refuse to believe.

(あなた方は、私たちの声を聞いている、緊急性は理解している、と言います。しかし、どんなに悲しく、怒りを感じるとしても、私はそれを信じたくありません。

もし、この状況を本当に理解しているのに、行動を起こしていないのならば、あなた方は邪悪そのものです。だから私は、信じることを拒むのです。 )

no matter how“は「どんなに~であろうとも」という表現です。これは普段の英会話でも使いやすそうですね。

例えば、”No matter how hard I tried, I couldn’t stop thinking about him. “(どんなに熱心にそうしようとしても(=どうしても)彼のことが頭から離れなかった)といった具合です。

また、最後の”That I refuse to believe.” は目的語であるthatが倒置されており、「私は「そのこと」を信じない」と強調する意味になっています。

ここでの”That”は前の文の”Because if~”を指しています。

「もし状況が分かっていてそれでも行動しないなら、あなた達は邪悪な人間ということになる」ということを信じたくない、と言っているわけですね。

emission 排出

“The popular idea of cutting our emissions in half in 10 years only gives us a 50% chance of staying below 1.5 degrees [Celsius], and the risk of setting off irreversible chain reactions beyond human control.

(今後10年間で(温室効果ガスの)排出量を半分にしようという、一般的な考え方があります。しかし、それによって世界の気温上昇を1.5度以内に抑えられる可能性は50%しかありません。人間のコントロールを超えた、決して後戻りのできない連鎖反応が始まるリスクがあります。)

emission“は「排出」で、環境問題の話では必ずと言っていいほど登場する英単語なので是非おさえておきましょう。

また、日本語訳では分かりやすいように2文に分かれていますが、この文章では”The popular idea~”が主語、”gives”が動詞、そして目的語が”a 50% chance~”と”the risk~”の2つという構造になっています。

1文が長い場合、英文構造(SVO等)を把握できないとたちまち意味が分からなくなってしまうので注意が必要ですね。

tipping points 転換点 / feedback loop フィードバック・ループ / climate justice 気候正義

Fifty percent may be acceptable to you. But those numbers do not include tipping points, most feedback loops, additional warming hidden by toxic air pollution or the aspects of equity and climate justice.

They also rely on my generation sucking hundreds of billions of tons of your CO2 out of the air with technologies that barely exist.

(50%という数字は、あなた方にとっては受け入れられるものなのかもしれません。
しかし、この数字は、(気候変動が急激に進む転換点を意味する)「ティッピング・ポイント」や、変化が変化を呼ぶ相乗効果、有毒な大気汚染に隠されたさらなる温暖化、そして公平性や「気候正義」という側面が含まれていません。

この数字は、私たちの世代が、何千億トンもの二酸化炭素を今は存在すらしない技術で吸収することをあてにしているのです。)

tipping point“は転換点のことです。

訳文では説明が追加されていますが、ここでは気候変動が急激に進んでしまうという、重大な変化が起こる転換点のことを意味しています。

feedback loop“は「フィードバック・ループ」、ここでは「変化が重なることで結果が大きくなっていくこと」といった意味合いで使われています。

climate justice“は「気候正義」のこと。

これは、 先進国がエネルギーを大量消費して温暖化を進めた結果、多くの貧しい国や人々がその被害を被っていることに対し、先進国はその責任を取り、そうした不公平を正すべきだという考えのことです。

we who have to live with the consequences その結果とともに生きて行かなくてはならない私たち

So a 50% risk is simply not acceptable to us — we who have to live with the consequences.

(私たちにとって、50%のリスクというのは決して受け入れられません。その結果と生きていかなくてはいけないのは私たちなのです。 )

we who have to live~”は、関係代名詞のwho以下が、weを修飾しています。

これにより、「その結果とともに生きて行かなくてはならない私たち」という意味になります。

odds 見込み / IPCC 気候変動に関する政府間パネル / gigaton 10億トン

木と青空

To have a 67% chance of staying below a 1.5 degrees global temperature rise – the best odds given by the [Intergovernmental Panel on Climate Change] – the world had 420 gigatons of CO2 left to emit back on Jan. 1st, 2018.

Today that figure is already down to less than 350 gigatons.

(IPCCが出した最もよい試算では、気温の上昇を1.5度以内に抑えられる可能性は67%とされています。
しかし、それを実現しようとした場合、2018年の1月1日にさかのぼって数えて、あと420ギガトンの二酸化炭素しか放出できないという計算になります。
今日、この数字は、すでにあと350ギガトン未満となっています。)

odds“には「可能性」「見込み」という意味があります。

ここでは”the best odds”となっているので、「最善の見込み」ということです。

Intergovernmental Panel on Climate Change“は、実際のスピーチではIPCCと省略した形で言われていますね。

これは「気候変動に関する政府間パネル」のこと。

日本語の「政府間」にあたる”intergovernmental”の”inter”という接頭辞は、「~の間」「~の中で」という意味です。

“inter(~の間)”+”governmental(政府の)” = “intergovernmental(政府間の)”というわけです。

おなじみの単語、”international(国際的な、国家間の)”も、”inter”と”national(国の)”の組み合わせですね。

gigaton“は単位で、「10億トン」です。

business as usual 今までと同じやり方 / CO2 budget カーボンバジェット

How dare you pretend that this can be solved with just ‘business as usual‘ and some technical solutions? With today’s emissions levels, that remaining CO2 budget will be entirely gone within less than 8 1/2 years.

(これまでと同じように取り組んでいれば問題は解決できるとか、何らかの技術が解決してくれるとか、よくそんなふりをすることができますね。今の放出のレベルのままでは、あと8年半たたないうちに許容できる二酸化炭素の放出量を超えてしまいます。)

business as usual“は直訳で「普段どおりの仕事」、ここでは「今までと同じやり方」というニュアンスです。

CO2 budget” は「カーボンバジェット」=「温室効果ガス累積排出量の上限」。つまり許容できる二酸化炭素の放出量のことです。

in line with~ ~に沿って

There will not be any solutions or plans presented in line with these figures here today, because these numbers are too uncomfortable. And you are still not mature enough to tell it like it is.

(今日、これらの数値に沿った解決策や計画は全くありません。なぜなら、これらの数値はあなたたちにとってあまりにも受け入れがたく、そのことをありのままに伝えられるほど大人になっていないのです。)

in line with”は「~に一致して」「~に沿って」という意味のイディオムです。

ここでは「”these figures”に沿って提示される解決策や計画」という意味になっています。

fail 裏切る / betrayal 裏切り

You are failing us. But the young people are starting to understand your betrayal. The eyes of all future generations are upon you.

And if you choose to fail us, I say: We will never forgive you.

(あなた方は私たちを裏切っています。しかし、若者たちはあなた方の裏切りに気付き始めています。未来の世代の目は、あなた方に向けられています。

もしあなた方が私たちを裏切ることを選ぶなら、私は言います。「あなたたちを絶対に許さない」と。 )

fail“は自動詞の「失敗する」という意味がよく知られていると思いますが、他動詞では「(人の期待などを)裏切る」という意味があります。

そして”betrayal“は「裏切り」。ちなみに動詞だと”betray(裏切る)”です。

get away with~ ~でうまく逃れる / draw the line 一線を引く / whether or not ~かどうかにかかわらず

We will not let you get away with this. Right here, right now is where we draw the line. The world is waking up. And change is coming, whether you like it or not.

Thank you.

(私たちは、この場で、この瞬間から、線を引きます。ここから逃れることは許しません。世界は目を覚ましており、変化はやってきています。あなた方が好むと好まざるとにかかわらず。

ありがとうございました。)

get away with“は「~でその場をやり過ごす、うまく逃れる」という意味です。

この状況から大人たちがうまく逃れるなんてことは許さない、というわけですね。

draw the line“はほぼ文字通りで、「一線を引く」ということ。これは覚えやすいですね。

whether you like it or not. “も使えるフレーズです。

“whether or not”は「~かどうかにかかわらず」なので、「あなたが好むと好まざるとにかかわらず」という意味になります。

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グレタ・トゥンベリさん国連スピーチ全文の英語表現まとめ

  • How dare you! よくもまあ~できるものだ
  • extinction 絶滅
  • all you can talk about is… ~しか話せない
  • crystal clear 非常に明白な
  • nowhere in sight 見通しが立たない
  • no matter how~ どんなに~であろうとも
  • emission 排出
  • tipping points 転換点
  • feedback loop フィードバック・ループ
  • climate justice 気候正義
  • we who have to live with the consequences その結果とともに生きて行かなくてはならない私たち
  • odds 見込み
  • IPCC 気候変動に関する政府間パネル
  • gigaton 10億トン
  • business as usual 今までと同じやり方
  • CO2 budget カーボンバジェット
  • in line with~ ~に沿って
  • fail 裏切る
  • betrayal 裏切り
  • get away with~ ~でうまく逃れる
  • draw the line 一線を引く
  • whether or not ~かどうかにかかわらず

じっくり内容を確認してみると、非常にパワフルなスピーチであることがさらによく分かりますね。

環境問題に目を向けるとともに、新しい英語表現もしっかりと身に付けたいね!

英語を話せるようになるには、実際に英語を話す場を設ける必要があります。「オンライン英会話3社を比較!ネイティブキャンプ、DMM英会話、産経オンライン英会話」の記事では、人気の3社を比較し、どんな方に向いているのかを詳しく説明しています。

英語学習コラム
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この記事を書いた人
とり子

英語講師・翻訳者。
4か月女児のママ。

\忙しいママにも英語を学ぶ楽しみを!/
●読んだその日から実践できる英語勉強法を多数紹介
●TOEIC980・英検1級保有者の学習ノウハウを公開
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